こんな仕事してます

3月上旬 〜 4月下旬 桃の摘雷(てきらい)

桃の枝には、みっしりと蕾がついているのだ。
この蕾をそのままにしておくと小さい桃しかできないので
余分な蕾を少しずつ落としていくのだ。

( 桃の木に蕾を落としてるのを気づかれないようにするのがコツなのだ )

この摘雷をしっかりしておくと大きい桃ができるので
ついつい頑張ってしまう。

ちなみに、桃の摘雷技術を最初に導入したのは親父なのだ!

( おそらく日本で最初だと思う! )

当時は、みんなに馬鹿にされて技術員さんにも毎日のように
「 止めた方がいい 」と指導をうけたが、
いざ収穫してみると他の農家よりも明らかに大きい!
親父の考えが正しいと証明されたのだ!

ところが親父、この特許ものの技術をタダでみんなに提供したのだ!

この器の大きさ・・・、スゴすぎるぜ!

名 山 農 園

山の中で四季の移り変わりを肌で感じながら
太陽と風、雨、草木を育む大地と共に
こんな仕事をしてます。

桃の消毒は、2週間に1回のペースで行うのが通常だが
うちは、2.5 〜 3週間に1回のペースで消毒するようにしている。
期間を長くすることにより、
他の農家よりも消毒の回数を減らすことができるからだ。

その分、手入れが大変だがエコで安全な桃を栽培するために頑張っているのだ。

このマシンは桃の消毒専用自動車、通称ガーデン!
見てのとおり3輪車である。

オープンカーで、サイドドアがなくて、エンジン剥き出し、地面丸見えの
骨董品の3輪車。

昭和40年ごろから使い始めて、いまだに現役!
これで公道を走ることができるからスゴイ。

子どものころガーデンに乗って、
エンジンの唸り声と足もとで回る剥き出しのプロペラにビビったのを
運転するたびに思い出すのだ。

3月上旬 〜 収穫2週間前 桃の消毒

受粉を必要とする品種のための花粉集め。

花粉をいっぱい持ってる「白鳳」という品種の蕾が大きくなって開く寸前に、
摘雷しながら傘で受けて集める。

集めた蕾は、JAが貸してくれる花粉分離器にかけると
花びらなどを取り除いた 花粉が詰まった「やく」だけに分離されるのだ。

あとは、紙に包んで冷蔵庫で保管。

3月下旬 桃の花粉集め

桃の花は桜より5日ほど遅れて開花するのだ。

桜と比べて桃の花は枝満載に花が咲くので物凄い見ごたえがある。
残念ながら摘雷しているので満載とはいかないが
それでもこの色鮮やかさ!

うちはこの時期、毎日がお花見なのだ。 
( ^_^ )

3月下旬 桃の花満開

梨も桃と同様に摘雷をした後なのでやや白さに欠けるが満開。
花の感じは、桜に似てるかな。

4月上旬 梨の花満開

3月下旬に集めた花粉を腰に吊るしたカンカンの中に入れて
羽棒に花粉をつけて受粉する。

当然、桃の樹は高いので竹の棒を連結して受粉。

そうなると上を見上げるので肩と首がコルコル。
おまけに、おっちゃんは花粉症なので
マスクとメガネ装着で頑張っているのだ。

受粉は本来、蜂の仕事だが
ヤツら蟻通神社の桜に群がってこっちにはなかなか来ない。
どうも、蜂の好みは桃より桜っぽいのだ。

なので桃畑で蜂を見つけた時は、ガッツポーズ!

蜂は農家の味方だぜ!

4月上旬 桃の受粉

桃・梨・柿と同様に梅にも当然、摘果が必要となる。

たがしかし、梅の摘果に割ける時間がなければ気力もない!

そこでうちは、独自のスペシャルな摘果を考えた!

少々乱暴な方法なので言いにくいのだが・・・

棒で叩く!
シナりの効いた棒で叩く!

強く叩けば、梅が全部落ち、
弱く叩けば、梅が落ちない!

なので絶妙な力加減で叩く!

そうすると、1人で3〜4時間ほどで摘果が完了となる。

素晴らしい! と思いつつも、あまりの破天荒な方法に
梅農家さんが聞いたらあきれるだろーなといつも思う!

4月上中旬 梅の摘果(てきか)

これは受粉が必要な品種の川中島。
摘蕾してないので枝にびっしり花が咲いていたのがよく分かる。
受粉が成功しているかどうかは、もうちょいしたら分かる。

最終的に、この枝に1つ桃を成らすかどうかはまだ先の話なのだ!

4月中下旬 桃の開花終了期

梨は、1花そう = 8〜10個の花を持つ。
摘蕾で約4〜5個ぐらいに花を落としたのが
← のような感じになるのだ。

なぜか上向きの梨の果実。

よく見ると、細長いのから、横長、偏ったものまで形がまちまち。

この中で、形の良さそうなのを1つ選んで残りは落とす。
大体、30cm〜40cmぐらいの間隔で1つになるようにするのがポイント。


摘果しているといつも思うのだが、ユニークな形をしている。
ファンキーな坊主頭が集まっているようでおもしろい。

美味しい梨に育ってくれよ〜

4月下旬 梨の摘果(てきか)

一般的に、冬の肥料を元肥、追加でする肥料を追肥という。
うちはこの時期、有機肥料○○○○(20Kg)を50袋ぐらい追肥するのだ。

果樹も人間と同じで、美味しい物を食べると大きく立派に成長するのだ。

○○○○は、企業秘密なので教えることができないのだ。

4月中下旬 桃梨の春肥料

柿の摘蕾の基本は、
1つの枝の真中あたりにある下向きの蕾を1つ残すこと!

それ以外の先端と根基にある蕾はすべて落とす。

しかも、全部の枝に1つ残してよいという訳ではなく
むしろ葉っぱの数などを考慮して蕾を残さない枝の方が多い。

当然、人間の手でやるため落とし忘れも発生する。

はっきり言って、消去法による間違い探しゲームのような仕事なのだ。

我が家の柿畑はけっこう広いので
近所のおばちゃんや親せきに手伝いに来てもらい、みんなで柿の摘雷。

この時期は、猫の手を借りたいほど大忙しなのだ!

4月下旬 〜 5月中旬 柿の摘蕾(てきらい)

2回、3回と繰り返した摘雷(てきらい)により
1本の枝に、3〜5つほど残った桃の最後の選別作業。

脚立(きゃたつ)に登り、どれを残そーかな と見ると、
大きい果実と小さい果実がマチマチなのにすぐに気づく。
それは、栄養が偏ったために大きさに優劣ができてしまったのだ。
さらには、病気のものや奇形もある。

その中で、一番大きく形の良いものを1つ選ぶ。 ↑のような感じ

選ばれたのは、100近い蕾の中から選別された桃なので
倍率は約100倍。
まさに厳選されたエリートのようなものなのだ!

この時期の桃は、日に日に大きくなるのがよく分かる。
成長が楽しみぜよ! ( 坂本竜馬 風 )

5月中旬 〜 下旬 桃の摘果(てきか)

桃は、袋をつつまないと太陽の直射日光により裂果したり、
病害虫にヤラれたりして見た目が物凄く悪くなる。
なので、それらの対策のために袋づつみをするのだ。

まず、↑の道具を使用。
左から、袋ポーチ ・ 指ぬき ・ ホッチキス ・ 袋。
袋ポーチに袋を入れ腰にまわし、指抜きを指に装着。
脚立にのぼり、片手で袋を開き、桃を袋で覆い、
ホッチキスで 「パチン」 と綴じる!

指抜きは、袋を開く時のスベ止めに活用しているのだ。

袋をつつむスピードは、100袋束で大体40分前後。
   ( お手伝いのおばちゃんは、50分ぐらい )
少しでも早くつつめるように、いつも試行錯誤しているのだ。

ちなみに、約65000前後の袋を2週間ほどでつつんでしまう!

やはりこの時期は、猫の手を借りたいほど大忙しなのだ!

5月下旬 〜 6月上旬 桃の袋づつみ

採り魚籠(とりびく)を肩にかけ、手でもぎ採り。
採り魚籠が一杯になったらコンテナに移して、また手でもぎ採り。

うちの梅畑はかなり急斜面なので、足は滑るは、肩腰にクル!
結構な重労働なのだ。

収穫した梅は、納屋(なや)で家庭選別。   ← 我が家の選別機

奥から手前に梅が流れてきて、小さい梅は、ローラーの穴に落ちる仕組み。
汚れているものや、傷のものは、別に除けて 「加工」 用として出荷する。

↑ これは、南高(なんこう)という品種。
  赤みがかったのが特徴で、梅酒や梅干しに最適なのだ。

農家の休日は、雨の日なのだがこの時期もやはり忙しい。
仕事が遅れていれば雨でも収穫!

「 梅雨 」、まさに読んで字の如し!

6月上旬 〜 6月下旬 梅の収穫

5月下旬 〜 6月上旬につつんだ桃の袋を取る作業。
そもそも袋は、2重になっていたので外側の茶色の袋を手で取る。
そーすることにより、桃に色が付くのだ!

↑ は、除袋した直後の白鳳という品種!

果は小さく、色も白緑っぽい。

これが、1週間ほどで袋が張るぐらいに大きくなり、色もピンクになってくる。

もうちょっとで収穫なのだ ♪

6月中旬 〜 8月上旬 桃の除袋(じょたい)

期間中、晴れの日も雨の日も 毎日収穫!
早朝の涼しい内に家族総出で収穫なのだ!

大体、朝の6時〜7時の間に畑に着き、10時半ごろまでひたすら桃採り。
役割は、親父と俺っちが収穫して、
     オカンが1級品、2級品、自家用と選別する。

← は、除袋して10日ほど経った白鳳!
    赤く色がつき、ものスゴく大きくなっているのがよくわかる ♪
    ちなみに味のほうは、糖度が高いのでなかなか美味しいのだ(笑)

それと、あまり知られていないが桃は、
1本の樹(1品種)を、10日ほどで収穫してしまうのだ。

夏の間 スーパーで「 白鳳 」がずっと売られているのは、産地の移動!
九州 → 中国・四国 → 近畿 → 最後は、東北の福島で終わるのだ。

うちは、いつお客さんが来ても桃が無くならないように
10種類ほど色々な品種を植えているのだ。

たわわに実った、自慢の桃。
さー、みんなで召し上がれ  
(^_^)/

6月中下旬 〜 8月中下旬 桃の収穫

桃の収穫 ・ 梨の収穫の合い間に時間ができたら山で柿の摘果。

急斜面の柿畑を5段の脚立を片手に担いで樹の果を探す。
するとすぐに、奇形 ・ キズ物 ・ 5月の摘雷(てきらい)で採りそこねた果が
目に飛び込んでくる。
「 結構、あるな 」と思いながら
手や摘果ハサミで落とす。

柿は、大きさと見栄えで値が大きく変わる。 っと言うよりは、
大きい物と見栄えのいい物しか選果場(JA)は荷受してくれないのだ。

なので、探して落とす!
     ( 落とした分だけ栄養が残りの果にいき大きくなるから。 )
1順したら2順目と、探して落とす!
            ( 落とせば落とすほど果は大きくなるから。 )

この時期は、暑い!
兎に角、   暑い!
汗が滝のように流れるくらい暑い!

熱中症対策というより、干からびないように
凍らせた2リットルのペットボトル持参で頑張ってます。

8月上旬 〜 9月中旬 柿の摘果(てきか)

採り魚籠(とりびく)を肩にかけて、採りごろの梨を探す。
すると、大きくなりすぎて袋が破れている梨が目に飛び込んでくる。
「採りごろだ ♪」と思いながら、手で 「ひょい」 っともぎ採る。

手に伝わる大きさと重さ

でかいな! 」を思いながら収穫を進める。

↑のように破れた隙間から梨が顔を出しているのはかなりの大玉。
しかも、やや黄色がかっている。
甘い果汁をたっぷり含んだ証なのだ!

スーパーや直売所では、なかなかお目にかかれない逸品!
味は期待どおり美味しいのだ 
(*^_^*)

8月中旬 〜 9月下旬 梨の収穫

柿は、農園の中で一番面積が広く
150アール(15000平方メートル)ほどある。
収穫順は、
渋柿( 中谷早生 → 刀根早生 → 平核無 ) →
甘柿( 冨有柿・太秋 )で
10月頭 〜 20日ごろピークとなる。

← は、一番量が多い刀根早生。

収穫は、梅・桃と同じで
採り魚籠(とりびく)を肩にかけて手袋をハメた手で行う。
柿のヘタとジクの間に指をはさみ、
手首を「 ひょい 」っと回すと簡単に採れるのだ。
採り魚籠が満タンになるとオカンの場所まで運び
空の採り魚籠に変えてまた収穫!

← オカンの役割は、ヘタのジクをハサミで落とし、
1級品、2球品、自家用と選別するのだ。

渋柿は、そのまま食べると渋い!
食べると口の中一杯に渋みの膜が広がるように渋い!
何とも言えない味でとても食べれた物ではない!

なので、脱渋処理を施すのだ。

うちでは、自家用を以下のように脱渋する。
← @.大きいビニール袋に柿と新聞を入れる。
     新聞は、発生した水滴を吸わすために。
  A.掃除機で空気を吸い出す。
  B.炭酸ガスを入れて、
     2日ほどほっとくと渋が抜けるのだ!

甘柿は当然甘く美味しいが
渋柿もなかなかの味なのだ ♪

という訳で美味しいので買ってください!
お願いしま〜す! 
m(_ _)m

9月中旬 〜 11月下旬 柿の収穫

剪定とは、春から夏にかけて伸びまくった枝を伐って整える作業。

1年先の収穫だけを考えず、2年3年先を想定して枝を整えることが重要である。

うちの剪定は、2本の基(もと)となる幹で構成される 「 2本主枝 」 を基本としている。
親父直伝の剪定なのだ!

剪定順は、梅 → 桃 → 梨 → 柿 と収穫順に剪定していく。

ちなみに、梅の樹はモノ凄く堅い!
あまりの堅さに、ハサミばかりを使って剪定していると手が腱鞘炎(けんしょうえん)
を起こしてしまうぐらいである。

↑は、剪定道具
左から、電気チェーンソー → ノコギリ → 断ち切りバサミ → 剪定バサミ

まずは、電気チェーンソーでざっぱに伐ってから
太い幹は、ノコギリで
細い枝は、断ち切りバサミと剪定バサミで状況に応じて道具を使い分ける。

普通は、エンジンチェーンソーを使うのだが
うちは、電気チェーンソーを使う。

こっちの方が安全だし、エコなのだ。

11月下旬 〜 3月上旬 剪定(せんてい)

この時期は寒いので樹が冬眠(休眠)する。
その間に肥料をまくことを元肥(もとひ)という。

オーソドックスな肥料は、牛ふんたい肥!

うちは契約牧場から上質の牛ふんを入手するのだ。

← は、2トントラック満載の牛ふん1台分である!

スコップでかいてみるとほのかに白い湯気が立ち昇る。
手で触ってみるとけっこう暖かい。
醗酵している証なのだ。

これを ← のように一輪車を使って
畑のすみずみまで運ぶ。

まき終わると ↓ のようになる。

この牛ふんを桃に6台分、梨に1台分ほど注文する。

ちなみに桃と梨はほかにも、

有機肥料○○○(20Kg)を 約60袋
有機肥料△△△(20Kg)を 約70袋
有機肥料□□□(20Kg)を 約60袋
 ( □は、隔年 )

これだけ有機肥料をまくと良い土ができる。

土作りは、農家の基本なのだ!

ちなみに
○△□は、企業秘密なので教えることができないのだ。


梅・桃・梨の剪定の後、柿の剪定の前に中耕機を先にする。

時期は大体、2月上旬ごろと一年の中でもっとも寒い時なので
樹が完全に冬眠(休眠)している。
なので、この間に土を掻き混ぜると樹にストレスをあたえなくて済むのだ!

↑ は、中耕機(ちゅうこうき)と呼ばれるもので
     土を耕すのに重宝している機械なのだ。

前進と後進を繰り返して畑をすみずみまで耕す。

深く掘り過ぎると、 根を伐ってしまい
浅く掘ってしまうと、土が思うように掻き混ざらない!

絶妙の深さで掘れるように、マメに深度を確認することが重要なのだ!

← は、耕し終わった畑。
     耕した後が縦横にできて、ちょっとしたアートになっている!

この作業により、肥料 空気 が混ざりあい
           微生物が育まれる(はぐくまれる)ような土になるのだ!

これで土作りはOKだぜ!

一生懸命土作りをしたので、うちの畑にはミミズが多い!
ミミズは、土壌を良くしてくれる!

ミミズは農家の味方なのだ!

2月上旬 〜 中旬 桃・梨の中耕機(ちゅうこうき)

中耕機 ・ 柿の剪定が終わった頃
やや暖かくなり、梅の花が咲きはじめると
桃の摘雷が始まる。

冬から春へ、春から夏へと
季節が変わるごとに仕事も変わる。

名山農園は、こんな感じで1年間を長い年月を
自然と共に歩んでいるのだ。 
( ^_^ )


11月下旬 〜 1月下旬 冬肥料

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